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Cinema de 温故知新

ミニシアター・ブームを大きく牽引した映画館、シネマライズ

東京・渋谷を代表するミニシアター、シネマライズが、2016年度の正月映画『黄金のアデーレ 名画の帰還』をもって、来年1月に閉館することになった。

 もともとは1986年に渋谷ピカデリーとともに開館し、80年代ミニシアター・ブームを大きく牽引し、一時は3スクリーンにまで拡大されたこともあったが、これも時の流れというものか。

 シネマライズのこけらおとしはメリル・ストリープ主演の『プレンティ』(85)だったが、館としての名を高めたのは続くトニー・リチャードソン監督、ジョディ・フォスターなどが出演した『ホテル・ニューハンプシャー』(84)で、事実この作品が大ヒットしてシネマライズの認知度はぐんとあがり、先達の岩波ホールや新宿のシネマスクエア、渋谷のユーロスペースなどと並ぶミニシアターとして君臨。

 特に渋谷のスペイン坂を上ったところに位置していたこともあり、渋谷ファッションの発信地にもなり得ていたように記憶している。

 デヴィッド・リンチ監督のカルト映画『ブルー・ベルベット』(86)や、『ポンヌフの恋人』(91)『トレインスポッティング』(96)『アメリ』(01)などなど、ここでかかる映画を見ることがオシャレであるといった空気感も醸し出していたし、またそれに見合った作品が常にかかっていた。

 ミニシアターの個性が徐々に薄れていったのは、やはり21世紀に入ってからか。シネコンの隆盛もさながら、単館上映ではなく、たとえば都内3館上映といった微妙な拡大形式なども、わざわざそこで見なくても、と映画ファンに思わせる風潮をもたらしてしまったのかもしれない。そして今や、銀幕にこだわるどころか、テレビモニターすら重苦しいとばかりに、スマホで映画を違和感なく見られる世代まで登場している時代なのである。

アメリ

80年代を席巻した象徴的ミニシアターの大半がなくなっていく中で、シネマライズは健闘しているほうだと思ってはいたものの、実際のところ私自身もここしばらく足を向けていなかったことに、はたと気づかされた。これでは今回こういった文章を書く資格もないと恥じ入るばかりではある。

 よくよく見るとシネコンにも各館の色があるように、ミニシアターもさまざまな個性はあるにも関わらず、最近はそういった色が映画マニアはともかく一般に見えづらくなってしまっているのが、現在のミニシアター不調の一因なのかなとも思ったりする。その点、淘汰された果てに生き残った東京の名画座各館が、現在独自の色を打ち出すべく腐心しているのを目の当たりにすると、ミニシアターも今一度のふんばりを期待したくなるのも本音のところではあった。

 さて、衛星劇場ではシネマライズが閉館する来年1月から『ミニシアターの思い出〜シネマライズ閉館によせて〜』と題して、これまでシネマライズで上映されてきた名作群を放映する。映画は何を見たかだけでなく、どこで見たかによっても実は大きく印象が変わるものであり、その意味では逆にモニターでの再確認はむしろ「ああ、あのときシネマライズでこれを見たなあ」といった思い出を蘇らせてくれるのではないか。そしてこの特集を知り、もしまだ閉館に間に合うようであれば、シネマライズへ“最後の思い出”として足を運んでいただけたら幸いである。

<1月放送>ミニシアターの想い出
     〜シネマライズ閉館によせて〜