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好いて好かれて夫婦にと固い固い約束をした、文太郎さんと露子さん。しかし、文太郎さん職業がどうにも柔らかすぎる――というのも文太郎さんの職業は花街で働く男衆。このことで、田舎にいる昔気質の露子さんの父親友蔵さんに反対されてはと、文太郎さんの職業を固い銀行員とごまかし、晴れて二人は結婚することが出来たのでした。
ところが、それからが大変。銀行員と偽ったからには、せめて形だけでもと、家を出るときは背広姿に鞄を抱え、いかにも銀行へ通うスタイルで出勤です。そして職場色街へ着けば、颯爽と男衆に早替り。その為、色街のお姐さん方は、文太郎さんのことを「銀行はん」と呼ぶようになっていました。
そんな或る日、娘夫婦に会いたいと田舎からやって来た友蔵さんと文太郎さんがバッタリ出会ってしまい、これが大騒動に…
娘の婿は銀行員とばかり思っている友蔵さんは派手な衣裳を着た男衆姿の文太郎さんに吃驚。それにも増して仰天する文太郎さん。慌てて逃げようとするも友蔵さんに呼び止められ四苦八苦。
冷汗流す文太郎さんに助け舟を出したのが友蔵さんの案内をしていた露子さん。急場しのぎに、この方は文太郎さんの弟ですとごまかしたのですが、なかなか納得しない友蔵さん。うちの人は支店長とこの近くの料亭に来ているからと、通り掛った芸妓さん達の協力を得て、やっと虎口を逃れたものの、その後がまた大変!
料亭まで乗込んできた友蔵さんをごまかすのにおおわらわ…一難去ってまた一難。
料亭の主人に頼み込み俄支店長を仕立てあげ、文太郎さんは銀行員になっての、兄と弟の使い分けー
兄か弟か、弟か兄か…?
しかしそこは持ち前の手八丁口八丁。あれやこれやの大奔走の挙句、背広とズボンがはっぴとズボン。はっぴとパッチが背広とパッチと一人二役の大奮闘。抱腹絶倒の一幕の行方は…!!
自分の生まれた故郷も、父親も母親も、もちろん自分の名前も知らない天涯孤独の青年スモッグ。仲間や友達はそのボーッとしてつかみどころのない風貌から、夜明けのスモッグと妙な名前で呼び、スモッグもまた人の呼ぶこの名を自分の名前だと信じていました。そのスモッグが、ふとしたことから知り合った広島健次という青年と親しくなって、天涯孤独の身と似通った境遇に、好意を寄せ合うようになったのです。
広島健次は、早くに母を亡くし、祖母の手で育てられたのですが、その祖母も亡くなり、戸籍謄本を唯一の手がかりに、行方の知れない、いまだ見ぬ父を探しながら懸命に働いていました。健次とは対照的に、働きもしないで、気随気儘に生きている自由人、スモッグ。
ある日、スモッグは、健次が落とした戸籍謄本を拾ったのです。偶然スモッグと言葉を交わすことになった実業家の福田健作は、その戸籍謄本を見てびっくり仰天。目の色を変えて、「お前の母は……おばあちゃんは……お前の名は……」と矢継ぎ早に尋ねる福田に、スモッグは、日頃から暗唱するほど聞かされていた健次の生い立ちを我がことのように語り、ついには「私の名前は広島健次というのです」と調子に乗って言ってしまったのです。
実は、福田健作こそ健次の父親で、健作の方も健次のことを探し求めていました。
スモッグを健次と勘違いした健作は、家に連れ帰り、今までの罪の償いとして、できる限りの愛情をそそぐつもりだったのです。健次と健作、そしてスモッグの運命は一体どうなるのでしょう……。