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歌舞伎彩歌

「怪談牡丹燈籠」幽霊よりコワイ人間の業と欲! 3組の男女、情念の行方

怪談牡丹燈籠牡丹灯籠は三遊亭圓朝の怪談噺を基につくられました。カラーン、コローン、と下駄の音がして、今宵もお露さんが愛しい新三郎の元に通ってくる。若い二人が睦み合っている場を下男の伴蔵が覗き見ると、なんと新三郎が抱いているお露は骸骨ではないか!…と、ここまでがとても有名な「牡丹灯籠」ですが、実はこれはほんの入り口に過ぎません。


伴蔵は、お札を貼られたために新三郎の家に入れなくなった幽霊のお露と取引し、お札をはがす礼金として100両を得て江戸を離れ、故郷の栗橋で金物屋を開きます。夫婦の暮らしを内職で支えてきた糟糠の妻・お峰も、何不自由ない暮らしを楽しめるはずでした。が、江戸のすべてを忘れて大店の主人としての生活を謳歌したい伴蔵と、貧しくとも語り合い笑い合い、日常を共有することに幸福を感じていたお峰の間に、隙間風が吹き始めます。


一方、お露の義理の母・お国は、隣家の次男坊・源次郎と恋仲となり逢瀬を重ねていました。お露が死んだ今、源次郎を跡取りの養子に迎え、末はお家を乗っ取ろうという魂胆。しかし夫・飯島平左衛門に勘付かれたため、斬り殺して出奔する羽目に。その時の傷で歩けなくなった源次郎の代わりに身銭を稼ぐため、お国は酌婦に身を落とすのでした。


「こんなことなら(平左衛門を)斬るのではなかった」と過去の所業を後悔する源次郎に対し、お国は「私はそうは思わない。今が一番幸せ!」と高らかに叫びます。お国にとって、源次郎への愛だけが真実。病弱の奥方付きの女中だったお国が後妻に収まったことを他人は「玉の輿」というけれど、当人にとっては拒否することのできない「パワハラ&セクハラ」だったかもしれません。


お露もまた、父・平左衛門の決断に翻弄された一人です。実の母の死を悼む間もなく継母・お国の輿入れ。自分は住み慣れた本家を離れ亀戸の寮(別荘)へ。孤独なお露にとって新三郎との出会いは、曇天に差し込んだ一筋の光明、生きるよすがだったことでしょう。


男女が求めあい睦み合いながらも、描く「幸せ」のかたちが少しずつずれていく…。蛍飛び交う川の堤で繰り広げられる凄絶なクライマックスは、美しくも哀愁が漂います。