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歌舞伎彩歌

ちょっと幕間 江戸の夏芝居に一服の涼! 「本水(ほんみず)」というアトラクション

鯉つかみ

スーパー歌舞伎U「ワンピース」で初めて歌舞伎をご覧になった方は、第二幕の終盤、舞台上に轟轟たる音とともに一面の「滝」が現れたとき、さぞ驚かれたことと思います。 舞台いっぱいにプールを置き、滝は流れる、役者は水の中でびしょ濡れになりながら立ち回りをする、という豪快な場面ですが、最近の新演出法ではなく、今から250年余り前、18世紀半ばには成立していたと言われます。


江戸時代、夏の芝居小屋は決して居心地のよいものではありませんでした。エアコンなどはもちろんなし。大ぜいの観客がひしめきあう狭い空間、団扇で扇いでも蒸し暑さはそう変わらない。そこで「怪談もの」と並んで人気を博したのが「本水(ほんみず)」です。役者が水の中で豪快に動けば、水しぶきが客席にもどんどん飛び、やんややんやの大歓声! 私たちも、テーマパークでウォータースライダーに乗って着水した時、水族館のイルカショーで、イルカやシャチが大きくジャンプした時、バシャバシャ、ドボン!の瞬間に水がかかっても、「濡れちゃったじゃないか!」なんて怒ったりしませんよね。2012年の平成中村座(隅田公園)4月公演では、「小笠原諸礼忠孝(通称=小笠原騒動)」で本水が使われ、江戸の芝居小屋サイズでの本水芝居がどんな感じになるのか、その一端を体験できました。


「鯉つかみ」も「本水使い」の演目です。鯉の精が人間に化けてお姫様の心を惑わしたり家宝を盗んだり、さまざまな悪さをしますが最後は正体を見破られ、巨大な鯉と正義の味方の一騎打ちが「本水」の中で行われるというストーリー。2017年11月歌舞伎座公演では、年明けに十代目松本幸四郎襲名を控えた市川染五郎(当時)が、染五郎として最後の主演作品「鯉つかみ」に出演、悪役の鯉の精と、姫の恋人で鯉の精と闘う志賀之助の一人二役を、生き生きと演じました。2015年、彼はラスベガス公演でも、ホテルベラージオの噴水を生かし、特設舞台を組んで「鯉つかみ」を上演しています。


テーマパークのアトラクションなら、ビショビショにならないために自らポンチョを着用したり、濡れてもよい服装にしたりして備え(?)ますが、歌舞伎観劇に来てびしょ濡れになるなんて、考えもつきませんよね。でも大丈夫。本水使いのときは、前から3列目くらいまでは「水がかかることがあります」という注意書きとともに、大きなビニールが置いてあります。「本水との攻防」にドキドキしながら、楽しく観劇できる演目です。