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歌舞伎彩歌

ちょっと幕間「タモリ→鶴瓶→歌舞伎?? 落語が新作歌舞伎になるまで」

廓噺山名屋浦里 2016年8月、笑福亭鶴瓶とタモリが歌舞伎座にやってきました。目的は上演中の新作歌舞伎「廓噺山名屋浦里(くるわばなし やまなや うらざと)」の観劇です。実はこの歌舞伎、鶴瓶の新作落語「山名屋浦里」が元ネタであり、その新作落語も、タモリが昔吉原の遊郭であった話を聞いて釣瓶に「これを落語にしてくれないか」と相談したのが発端。つまり、この2人が新作歌舞伎の生みの親ということになります。2015年1月、鶴瓶が新作落語にして披露した高座を聴いていた勘九郎の、たっての頼みで歌舞伎化することが決まりました。


なんて豪華な連携プレーでしょう! 奇跡的! でも昔もきっと、「いい(はなし)だねえ、これ歌舞伎にできるんじゃない?」という一言から、落語は歌舞伎化されていったのだと思います。歌舞伎の原作になっている落語としては、三遊亭圓朝の「怪談牡丹燈籠(ぼたんどうろう)」や「怪談乳房榎(ちぶさのえのき)」、四代目桂文吾の「らくだ」などが有名です。江戸時代の庶民の飾らない生活ぶりや、毎日を楽しむ知恵が生き生きと描かれている落語は、同じく江戸の町人を主人公とする歌舞伎の世話物の題材にはうってつけではないでしょうか。


でも落語なら何でも歌舞伎になり、人気をとれるわけではありません。落語原作に限らず、現在歌舞伎の代表作と謳われ何度も再演されている名作も、初演時は当然「新作」でした。多くの新作の中から面白かったもの、評判だったもののみが再演され、そのたびにブラッシュアップされて、何十年何百年と愛され今に至ったのが「古典」です。


「廓噺山名屋浦里」は新作とはいえ、花魁道中をはじめとした廓やお茶屋の日常、江戸詰(えどづめ)(留守居役など、参勤交代制度のためで長期の単身赴任をする)の地方武士の様子など、先行作品で培われてきた歌舞伎の場面や手法を巧みに取り入れています。その手堅さに支えられ、七之助が浦里を、勘九郎が宗十郎を、オリジナルキャストとして魅力的なキャラクターに造り上げ好評を博しました。 「このあと浦里と宗十郎はどうなるの? 今回は出てこなかった宗十郎の奥さんとの関係は?」――再演どころか続編やスピンオフを望む声まであり、単に「鶴瓶とタモリが生みの親」という話題性だけが人気の理由ではないことが証明されました。先行作品と比べても違和感のない仕上がりは、「ことさら今までにないものを狙って奇をてらわずとも、魅力的な新作は作れる」というよい例になったと思います。