衛星劇場 あなたのテレビライフを豊かにする。邦画・洋画・韓流・歌舞伎などバラエティに富んだ上質エンターテインメントチャンネル

邦画・洋画・韓流・歌舞伎などバラエティに富んだ上質エンターテインメントチャンネル

機能リンク
  • 加入申し込み
  • 会員登録
  • 番組表

歌舞伎彩歌

『松寿操り三番叟』見えない糸が生き人形を操るフシギ!

「松寿操り三番叟」


「三番叟」は能楽の儀式曲です。力強い足拍子で地固めをし、鈴を持って種まきを表して、五穀豊穣を寿ぎ豊作を祈ります。日本各地で民俗芸能や人形芝居、そして歌舞伎へと取り入れられていきました。同じ能楽の儀式曲で天下泰平祈願の「翁の舞」とともに、記念日は劇場の新開場など、おめでたい席で上演されることの多い演目です。


こうした「三番叟もの」として、歌舞伎には様々なバージョンがありますが、中でも「操り三番叟あやつりさんばそう」は、糸操りの人形が三番叟を踊るさまを、人形の代わりに人間が演じるという娯楽性の強い作品。まず後見が大きな箱から糸操りの三番叟の人形(つまり人間)を取り出し、その人形につながっている操りの糸をさばくマイムをします。ちゃんと人形につながっているか、切れている糸やからまった箇所はないか。後見役(尾上松也)が糸をひっぱると、それに合わせてピン、ピン、と三番叟の人形(市川染五郎)の手が上がったり下がったり。その操りの糸は実際にはなく、演者と観客とが「想像」で存在させるのが「操り三番叟」の妙なのです。歌舞伎には、文楽(人形浄瑠璃)の人形のように演じる「人形振りにんぎょうぶり」という演技もありますが、これは糸で操られているというところが特徴。染五郎は十代で初めて「操り三番叟」の舞台を観たとき、「パントマイムだ!」と思ったそうです。


よく耳をすますと、鼓が一定のリズムで常に拍子を刻んでいるのに気づきます。鼓の音を合図に後見役と人形役は、見えない糸で後見の手の動きと人形の動きを合わせているのですね。まるで「人間のように」滑らかに踊ったかと思えば「人間にはできない」動きをし、そうかと思えば「人形のように」ぎこちなく踊る。途中で糸がからまってくるくる回り出したり、その糸がほぐれて逆回りして戻ったり、糸が切れてバッタリ倒れたり。ダイナミックな動きに息を呑む一方、一瞬で人形から魂が抜け、虚ろになる演技にも拍手。


アクロバティックな驚きと楽しさで劇場は湧きますが、演じている方は相当な運動量でしょう。その上「人形」ですから汗をかいていいはずもなく……超難関の踊りです。