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歌舞伎彩歌

『祇園祭礼信仰記〜金閣寺』桜吹雪の下で身をよじる囚われの美女

祇園祭礼信仰記〜金閣寺 「金閣寺」は戦国時代、足利十三代将軍義輝を暗殺した松永大膳久秀が、小田春永(=織田信長)と敵対して金閣寺に立てこもっているところから始まります。そこに密命を帯びた此下東吉(=木下藤吉郎、後の豊臣秀吉)が、小田側を裏切ったふりをして乗り込んできます。東吉のミッションは、人質の将軍生母・慶寿院の救出でした。
ところが金閣寺には、もう一人幽閉された女性が!雪舟の孫娘で絵師狩野之介直信の妻・雪姫です。大膳は美しい雪姫に横恋慕し、直信の命と引き換えに愛妾となるよう迫り、桜の樹に縛りつけてしまうのでした。


「絢爛な金閣寺を背景に、縛られて身をよじる美女の上から桜吹雪が舞い散る」という場面は、まるで一幅の絵のよう! 格調高くも嗜虐的な美を醸し出すこの場面は、この舞台のハイライトです。とはいえ、縄で体の自由が制限されながら雪姫の心情を表し、さらに降り積もる花びらに足の爪先で見事な鼠の絵を描き、その絵が本物の鼠になって表れ縄を食いちぎってくれるというファンタジーを、観客に信じてもらえるように演じるのは至難の業でしょう。雪姫が女方が演じる格の高い難役「三姫」の一つといわれるゆえん。今回は五代目中村雀右衛門が、襲名披露狂言として挑んでいます。(鼠のエピソードは、雪舟の幼い頃にあったとされる故事をたくみに取り入れています)


天下と美女をわがものにせんとする大膳は敵役(かたきやく=悪者)。その中でも「国崩し」と呼ばれるスケールの大きい悪役で、威厳と迫力が備わっていなければ務まりません。冒頭の、悠然と碁を打つシーンから、器の大きさが必要です。また、大膳が東吉と碁を打つ場面(「碁立て」)には重要な意味があります。碁は陣取りの勝負で、古よりいくさ上手は碁をよくたしなみました。大膳は、碁の打ち筋から秀吉の器量と真意を見極めようとするのです。他愛のない世間話の裏で繰り広げられる心理戦。武将同士の一騎打ちであり、戦場での真剣勝負さながらと言えましょう。


実はこのお話、史実とちょっと違うところがあります。でも歌舞伎は基本フィクション! 細かいところは気にせず、大河ドラマを観るように、場面にこめられた思いと緊迫感を堪能してください。