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歌舞伎彩歌

『三人吉三〜大川端庚申塚の場』黙阿弥の七五調で綴る、はぐれ者たちの青春グラフィティ

三人吉三〜大川端庚申塚の場 「三人吉三(さんにんきちさ)〜大川端庚申塚の場」は、「三人吉三巴白浪」あるいは「三人吉三廓初賈」という長いストーリーの発端に当たる場面です(*)。


 

同じ「吉三」の名前で売り出し中の盗人3人、女装姿のお嬢吉三、着流しの浪人・お坊吉三、坊主崩れの和尚吉三が、大川(=隅田川)のほとりで出会います。まずはお嬢吉三がおとせという娘から百両を奪い、その光景を見ていたお坊吉三と百両をめぐって対決していると、和尚吉三が仲裁に割って入る。最終的に三人は意気投合し、義兄弟の杯を交わすまでになります。アニメ「ルパン三世」でも、ルパンと五ヱ門とは元は敵同士でした。孤独な泥棒たちが絆を求め仲間になる…はぐれ者たちの青春グラフィティといえるかもしれません。


流れるような七五調の科白が特徴の河竹黙阿弥の作。「月も朧(おぼろ)に白魚の/篝(かがり)も霞む春の空/冷てえ風も微酔(ほろよい)に/心持よくうかうかと…」と続くお嬢吉三の長科白は非常に有名で、ストーリーよりこの名調子を聞くのが楽しみという人も。振袖姿のお嬢吉三が通りすがりの男から奪った刀を手に、川端の杭に片足を置いてポーズを決めると、「待ってました!」「たっぷり!」などという大向こう(掛け声)がかかることもあります。


今回は新春浅草歌舞伎の舞台をTV初放送。お坊吉三にはスーパー歌舞伎U「ワンピース」でボン・クレー熱演が話題の坂東巳之助、同作イナズマ役で切れのよい立ち回りを見せる中村隼人はお嬢吉三を、隼人の父・中村錦之助がかなめの和尚吉三を演じます。揺るがせにできない歌舞伎の様式美を獲得しようと奮起する、若手世代の初々しさにご注目ください。


お嬢吉三(隼人)とお坊吉三(巳之助)が百両をめぐって駆け引きする科白には、一見平静を装ったやりとりの中に、いつ飛びかかってきても負けないぞ!というスキのない緊迫感があり、目と耳を澄ませてじっくり味わいたいところです。


(*)長いストーリーの一場面だけを上演する形態を「見取り(みどり)狂言」と言います。最初から最後まで通して上演するのは「通し狂言」。(ここで言う「狂言」は、「お芝居」という意味です)