発明好きのおてんばな姫君・姜保寧と、腕の立つ地方総管の息子・李謙。皇帝主催の発明大会がきっかけで出会った２人は、その後も李謙が皇太后の侍衛に抜擢されたことで再会し、想いを寄せ合うようになる。だが、身分が違うため、共に自分の気持ちを素直に表せず、何度もすれ違う。別の相手に嫁ぐことが決まった姜保寧、身を引こうとする李謙にはもどかしく切ない気持ちになってしまう。晴れて結ばれても、２人を数々の危機が待ち受ける。思わぬ出来事から離ればなれになったり、瀕死の重傷を負ったりと予測不能なことだらけ。彼らに平穏な日々が訪れるのはいつの日か……？
　美しく勇敢な姜保寧役は、アイドルグループ「SNH48」出身で２年連続総選挙１位となったシュー・ジンイー。“４千年に１人の美少女”と言われ、日本では“キクちゃん”の愛称で親しまれている彼女が、自分の才覚で大切な人を守ろうとするヒロインを好演した。姜保寧を一途に愛する李謙役には、同じくアイドルから転身したツォン・シュンシー。「倚天屠龍記〜乱世に煌めく愛〜」に主演し人気となった彼が、誠実で頼りがいある主人公を演じて魅了する。麗しカップルが相手を信じて想いを貫く姿に胸が熱くなる。

　愛し合う姜保寧と李謙カップルを邪魔する恋敵たちに注目。序盤は、姜保寧も自分のことが好きだと信じて疑わない皇帝・趙翌が、彼女を皇后に迎えようと無理やり縁談を進める様子にやきもき。ようやく彼から逃れたと思いきや、今度は皇族の趙嘯が現れる。もともとは好男子で李謙とも友情を築いていたはずの彼だが、保寧が李謙を選ぶと一変。卑劣なストーカーへと変貌を遂げてしまう。演じているワン・ジュオチョンは、「陳情令」の江澄（ジャン・チョン）役で一気に知名度を上げた人気俳優。彫りの深いイケメンだけに、しつこさ＆くどさ倍増でキャスト的には効果抜群。
　一方、李謙のほうにも彼を幼い頃から慕う高妙容の存在が。自分こそが李謙にふさわしいと思い込み、彼からいくら「妹としか思えない」と言われても絶対に諦めようとしない。あの手この手で李謙の気を引こうとしつつ、保寧をおとしめようと画策。「燕雲台-The Legend of Empress」ではヒロインの姉の忠実な侍女を演じたリー・イージェンが、諦めの悪さでは趙嘯といい勝負の妙容を憎々しく演じて光る。執着を捨てれば幸せになれるのにと、むしろ哀れにすら思えてくる２人がドラマを盛り上げた。

　姜保寧と李謙の身分違いの恋の行方に惹きつけられたかと思えば、恋敵たちの嫉妬と陰謀、周囲の人々の思惑が生む様々な事件にハラハラさせられっ放し。さらに政権を巡る皇帝と皇太后親子の争いというお家騒動に、隣国との紛争までが加わって、波瀾万丈のストーリーは先がまったく読めない。戦場へと赴いた李謙が行方不明になると、姜保寧は自ら男装して彼を探しに行き、紛れ込んだ敵国で発明の腕を発揮するなど、驚くような展開には釘付けに。迫力いっぱいの戦闘シーンや李謙らが見せる華麗なアクションにも目を奪われる。
　商人を装った隣国の流浪の王子・慶安と、李謙の男勝りの異母妹・李冬至が繰り広げる、微笑ましくも危険な恋模様もドラマの大きな見どころ。クールな中に温かみを感じさせるリー・ユンルイと、はつらつとした魅力のワン・イーティンが慶安と李冬至を演じて、主役カップルに負けない人気を獲得した。また、姜保寧の親友・白愫と夫・曹宣が見せる夫婦愛にもホロリとさせられる。後半は、李謙の母の殺害事件の真相に絡んで、愛する２人の前に暗雲が立ち込めて……。すべてのエピソードが緊張感たっぷりで最後まで目が離せない。