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Cinema de 温故知新

小津監督初期作品『突貫小僧』短縮版のフィルム発見に寄せて

『突貫小僧』と聞くと、小津安二郎監督ファンの方ならば思わずニンマリ、誘拐された子どものわんぱくぶりに人さらいが右往左往してしまう、1929年の痛快喜劇映画。小津監督がまだ20代の若々しい意欲をもって手掛けたサイレント映画でもある。

 この作品、オリジナルの38分版は残念ながら現存しておらず、家庭用に短く再編集された、フィルム幅の狭い(9・5ミリ)パテベビー・フィルムの一部(14分版)が東京国立近代美術館フィルムセンターに所蔵されているのみであった。

 しかしこのたび、古い家庭用フィルムを収集&展示活動を行っている京都市の「おもちゃ映画ミュージアム」が、新たにパテベビー版の2巻1組=19分版のフィルムを発見。

 これはフィルムセンター所蔵の14分版には欠落していた5分間=タイトルバックや、冒頭で子どもたちがジャンケンをしてかくれんぼを始めるシーンなどが含まれている。

 おそらくはこれが『突貫小僧』家庭用短縮フィルムとしての完全版であろうとのことだ。

 この『突貫小僧』19分バージョンは、10月13日から16日まで開催された京都国際映画祭のサイレント映画特集にてめでたくお披露目となったが、その後、12月の衛星劇場にて放送されることが決定した。

 ありがたいことに今回一足早く見させていただいたのだが、冒頭などをのぞくと微妙に細かいショットがちまちまと増えており(というよりも、これまで観られていたものが、単にちまちまと切られていただけのことなわけだが……)、その分ストーリーの進行なども当然ながら丁寧になっているといった印象を受ける(しかし、何度見ても斎藤達雄のコメディ演技は見ていて楽しい)。

ただし、これでもオリジナルのちょうど半分しか『突貫小僧』を堪能できないという、要はまだまだいっぱい面白いシーンがあるのだろうなあ、などと困ったことを思い始めてしまうと、やはり映画を保存するという意識が皆無だった当時の日本映画界を恨めしく思わざるを得ない。

突貫小僧〜現存最長版〜

 それはアメリカのサイレント映画の保存状態の良さなどと比べてしまうと、なおさらため息を憑かずにはいられないほどだ。

 しかし、一方でこういった発掘活動を地道に続ける人々の熱意には、やはり深く感謝の意を表したいところでもあり、もしかしたら、いずれはオリジナル版が奇跡的に見つかることもあり得るのではないか、そういった期待を募らせてくれる今回の大発掘なのであった。

 さて、これにあわせて12月には《「突貫小僧現存最長版」放送記念〜世界から敬愛されたOZU〜》として、以下の3本がオンエアされる。

 小津映画の大ファンであるヴィム・ヴェンダース監督が、小津監督の墓を訪問するために来日し、東京を歩きながら目に留まった風景を撮影したドキュメンタリー映画『東京画』(85)。

 小津監督生誕90年に公開されたドキュメンタリー映画『小津と語る Talking With OZU』(93/DVD未発売)。

 小津生誕100年記念映画として侯孝賢(ホウ・シャオシェン)監督が一青窈、浅野忠信を主演に描いた『珈琲時光』(03)。

 これらも通常の小津作品群とは異なり、今ではあまり見られる機会の少ない作品群なだけに、要チェックではあるだろう。