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Cinema de 温故知新

果たして今年の受賞作は…?映画化される芥川賞受賞作

先ごろお笑い芸人の又吉直樹が記した小説『火花』が芥川賞を受賞したことが話題となったが、10年の歳月を1年1話で全10話として描くドラマ・シリーズが廣木隆一総監督のもと、ネットフリックスで6月から世界配信される。映画でもテレビでもない“配信”という形でのお目見えに、次世代の映像メディアの可能性を感じられてならないのだが、それはともかく、芥川賞や直木賞、「この小説がすごい!」などなど現在小説の賞はあまたあるが、やはりその中でもっとも注目されるのが毎年2回、純文学の新人に与えられる芥川龍之介賞=芥川賞であることに異を唱える人は少ないだろう。

 当然、その映画化も遥か昔からなされてきているわけだが、衛星劇場でも、次の第155回(2016年度上半期)芥川賞が発表される7月、第46回(1961年下半期)受賞作『鯨神』(原作・宇能鴻一郎/監督・田中徳三)、第78回(1977年下半期)受賞作『螢川』(原作・宮本輝/監督・須川栄三)、第144回(2010年下半期)受賞作『苦役列車』(原作・西村賢太/監督・山下敦弘)の3本をオンエアする。

 この3本、個人的にも大好きなものばかりで、『鯨神』は日本版『白鯨』ともいうべき特撮スペクタクル巨編だが、原作者・宇能鴻一郎がその後「あたし、○○なんです・・・」の名独白でおなじみ『濡れて』シリーズに代表される官能小説の世界へ進み、日活ロマンポルノに大いに貢献してくれたことは、現在40代以上の日本映画ファンならば周知の事実であろう。

 『螢川』の宮本輝は、『泥の河』『道頓堀川』『花の降る午後』『優駿』『草原の椅子』など映画化作品も多く、映画ファンにとって信頼のブランド的存在だが、中でも『螢川』は複雑な大人たちの恋と、純粋な少年少女の恋とが、ともにクライマックスの螢の群れの中で美しきエロティシズムとして昇華されていく壮大かつファンタジックな人間ドラマの傑作として今回もっとも強くお勧めしたい(中古DVDはかなりの高価格で取引されていて、とても手が出ません)。

苦役列車

『苦役列車』は原作者・西村賢太自身の強烈なろくでなし人生を基にした私小説の映画化で、主演・森山未來の当たり役となったが、やはり主人公そのもののキャラクターがかなりのインパクトで、この型破りな生きざまは一見の価値がある。

 さて、個人的に芥川賞受賞作の映画化と聞いて思い起こすのは、第75回(1976年上半期)受賞作『限りなく透明に近いブルー』の村上龍、第77回(1977年上半期)受賞作『エーゲ海に捧ぐ』の池田満寿夫が、それぞれ79年に自作を監督したことで、当時としてはどこか映画をなめきった行為として、映画マスコミは大いに叩きまくっていたものだが、時を経た今は小説家であろうと誰であろうと自由に映画を監督できる時代であり、むしろ当時の彼らの行為は創作活動の一環として讃えてしかるべきではないかと思えてならない(なお、小説家が映画を監督した元祖といえば『若い獣』58の石原慎太郎がすぐに思い浮かべられるが、彼もまた『太陽の季節』で第34回・1955年下半期の芥川賞を受賞して世に出た作家であった)。