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歌舞伎彩歌

歌舞伎彩歌「関三奴」大津絵から飛び出した槍持奴の威勢よさ

関三奴


「関三奴(せきさんやっこ)」は、もともとは大津絵の絵柄にインスパイアされた五変化舞踊「哥へす哥へす余波大津絵(かえすがえす・おなごり・おおつえ)」の一景にあたります。
大津絵とは江戸時代の初期、東海道五十三次のうち大津の宿場で、街道を行き交う旅人等に縁起物として神仏画を描き売ったのが始まりといわれ、鬼の絵や美人画などの風俗画も人気となりました。江戸後期になると人気のキャラクターは「大津絵十種」として護符にもなったそうです。


「関三奴」で描かれる「槍持奴」も、その十種のうちに入っています。大名行列の先頭に立って毛槍を高々と掲げ、くるくる回しながら道中を練り歩く姿は、宿場町ではちょっとしたエンターテインメントだったかもしれません。旅の記念に絵はもってこい。そして「絵の中の人物が動き出したらどんなに素敵だろう」という思いは、今も昔も人の心は変わりません。漫画をアニメにしたり実写化するのと同じですね。(ちなみに「哥へす哥へす余波大津絵」の最初の一景は「藤娘」。同じく大津絵の「かづき娘」を発展させたもので、今日まで改良が重ねられ、人気演目となっています。)


さて、奴の名前は駒平(「駒」=成駒家=中村鴈治郎)、勘平(「勘」=中村勘九郎)、松平(「松」=尾上松緑)。ネーミングもふるっています。三人三様、色鮮やかな衣装・出で立ちで、それぞれの味を生かしたキレのよい踊りを披露します。


最初は勇壮な毛振りを披露、次に「悪身(わりみ)」で花魁の真似。悪身とは、立役(男性の役)の登場人物が女性の身振りをすることです。たくましく威勢のよいはずの奴がなよなよとした踊りをしておかしみを誘います。その後酒に酩酊する様子を経、最後は毛槍を投げ合う豪快な見せ場へ! 


三人とも舞踊には定評がありますが、安定感の中に緩急と温かみを感じさせる鴈治郎、豪快さと遊び心の勘九郎、きっちり楷書でクールに踊る松緑と、同じような振りでも受ける印象はそれぞれで、舞踊の面白さを感じさせます。


「関三奴」の「三」は、3人で踊るからではなく、初演で踊った役者の名が「関三十郎」だったからだそうです。