衛星劇場 あなたのテレビライフを豊かにする。邦画・洋画・韓流・歌舞伎などバラエティに富んだ上質エンターテインメントチャンネル

邦画・洋画・韓流・歌舞伎などバラエティに富んだ上質エンターテインメントチャンネル

機能リンク

深煎り時間(タイム)

こだわり派のあなたに観てほしい逸品を、その道のベテランがご提案する連載コラム。
深煎りした珈琲のように、名作の深い味わいをご堪能ください。
今月の書き手:宇田夏苗
近年のミュージカル人気のわけとは?その一端を担う、韓国発の意欲作を放送!
Vol.10(1月25日更新)
ミュージカル「ブラック メリーポピンズ」・ミュージカル「深夜食堂」
ミュージカル「ブラック メリーポピンズ」
演出:鈴木裕美/脚本・音楽・作詞:ソ・ユンミ
出演:中川翔子ほか

ミュージカル「深夜食堂」
原作:安倍夜郎『深夜食堂』/脚本・作詞:JEONG, YOUNG
音楽:KIM, HAESUNG/演出:荻田浩一
出演:筧 利夫ほか

衛星劇場にて、2月放送予定!

近頃「ミュージカル」という言葉を耳にする機会が増えていると感じている方は多いのでは? 年末恒例の歌番組にミュージカル俳優たちが登場し、名作や話題作の楽曲を披露していたが、数年前には考えられなかったことだ。NHK紅白歌合戦には2.5次元ミュージカル『刀剣乱舞』のキャストからなる「刀剣男子」が初出場を果たした。映画界をみても特にここ数年、ミュージカルの勢いが増している。一昨年に『ラ・ラ・ランド』、昨年は『グレイテスト・ショーマン』が大ヒットを記録。ミュージカル映画ではないものの、『ボヘミアン・ラプソディ』や『アリー/スター誕生』などの音楽映画が映画館を席巻し、今後も名作の続編『メリー・ポピンズ リターンズ』や『ライオンキング』の実写版の公開が控えている。

ミュージカルが一般的になってきた理由のひとつには、こうした映画の力があるのは確か。たとえば2012年公開のヒュー・ジャックマン主演映画『レ・ミゼラブル』が大ヒットした後、「生の舞台も観てみたい」という人が続出。劇場にミュージカルのコアファン以外の客層を取り込む結果となった。

上演されるミュージカルの種類が増えたことも大きい。ブロードウェイ発のものに加え、ウィーンやフランスなどヨーロッパ発の作品がこの20年くらいの間に日本の観客に定着した。そしてもう一つ、忘れてはならないのが韓国だ。アジアのブロードウェイと呼ばれるソウルの演劇街・大学路には140もの劇場があり、数々のオリジナル・ミュージカルが生まれている。さらに韓国ミュージカルアワードといった業界全体のお祭りとしての授賞式があることが、ミュージカルをより大衆のものにしている。若いクリエイターによる意欲作も多い。2月に放送される『ブラック メリーポピンズ』はソ・ユンミという女性クリエイターがたった一人で脚本・音楽・作詞を担当。あの有名な家庭教師メリーポピンズをモチーフにした、人間のダークサイドに迫ったアイデアに驚かされるはず。同じく2月放送の『深夜食堂』はドラマでも人気を集めた安倍夜郎による同名漫画をもとに、韓国のクリエイターが舞台化した。脚本は韓国ミュージカル・アワード受賞のジョン・ヨン、作曲は日本でも上演され話題となった『キム・ジョンウク探し』のキム・ヘソンだ。深夜0時から朝の7時までしか営業しない小さな食堂を舞台に、個性豊かな客たちが繰り広げる人間模様を綴る本作。ミュージカルといえばきらびやかなイメージがあるが、ほっこりと心に触れる世界を描くというのが面白い。それくらいミュージカルの幅は広いということなのだ。


今月の書き手

宇田夏苗(うだかなえ)
演劇・映画ライター。
城西国際大学非常勤講師。映画・演劇会社勤務ののち渡米。8年のNY滞在中にフリーで活動を始め、帰国後はミュージカルを中心にインタビューや舞台プログラムの編集を手がける。共著に『50歳から楽しむニューヨーク散歩』(小学館)。