大椋国の都・慶康に和議のために訪れた尉国の大使が仮面の刺客に襲われる。生まれて初めて江家村を出て旅に出た好奇心旺盛な江慈は偶然その現場に居合わせ、刺客に刺され木から落ちたところを剣鼎侯・裴琰に保護される。仮面の刺客の正体は月落城の亡き城主の息子・蕭無瑕という身分を隠す光明司の冷酷な指揮使・衛昭。亡き寵妃の弟として皇帝に重用される彼が父親に着せられた汚名をすすぐために暗躍する一方、野心を秘めた策略家の裴琰は刺客の正体を突き止めるべく目撃者の江慈を屋敷に置いて世話をする。こうして追う者と追われる者となった衛昭と裴琰がどちらも江慈を愛するようになったことから、彼らの愛憎に満ちた復讐劇と闘争は混迷を極めていく。

・[NEW]2025/5/13 「流水舞花(りゅうすいまいか)~遥かなる月落城~(原題:流水迢迢)」特設ページ公開!
それぞれの悲願を胸に秘め、皇帝に仕える美しき二人の男、と彼らの前に現れた自由で活発な田舎娘。おのれの悲願のために彼女を利用しようとする二人だったが、いつしか強く惹かれていき……。出演作にハズれなしのエース俳優、「美人骨」のアレン・レンと、迫力の美貌と色気でシリアスもラブコメも演じてきた「花令嬢の華麗なる計画」のシュー・ジェンシーが悲願のために闘い、三角関係の火花を散らす!ヒロインは「宮廷の茗薇<めいび>~時をかける恋」のリー・ランディー。
アレン・レンが演じたのは、皇帝の亡き寵妃の弟で、お気に入りの臣下である衛昭。普段は冷酷な光明司の指揮使として怖れられているが、その正体は国境にある月落城の亡き城主の息子・蕭無瑕。裏切者とされた父の汚名をすすぎ、姉の死の謎を解くために暗躍しており、その正体を知ったヒロインの江慈を殺そうとするのだが……。劇中で江慈から「芙蓉の花のよう」と称される少年のように清らかで端正な顔立ち、堂々としてキレのある立ち振る舞いなど安定のアレン・レンの凛々しい美しさが際立つ。裏切者の息子として追われ、奴隷として過ごした過酷な半生、悲願のために仲間を失っていく悲しみがせつなく、そんな彼が江慈との出会いで生きる喜びを知り、かすかな笑顔を見せたり、ちょっとすねたりするのを見ると心が温まる。
一方で、衛昭の良きライバルである裴琰を演じたシュー・ジェンシー。父親の病気を理由に引退を表明していた彼だが、このほど復帰が報道されて一安心だ。演じた裴琰は、民からも人気のある穏やかで優れた侯爵。しかし父を早くに失い、厳格な母の下でお家復興の野心を胸に秘めていた。その野心のために江慈をかくまうのだが、いつしか恋に落ちてしまう。相当な策略家なのだが、その上をいく衛昭、そして母・容玉蝶の強烈な野望に翻弄され、自分を癒してくれる江慈への愛が激重になってしまうのが怖ろしい。シュー・ジェンシーの陰のある美貌が暗黒化してしまう裴琰にハマっているが、もとの穏やかな侯爵殿に戻ってくれるのか、最後まで見届けたい。
意志の強そうな顔が、自由でマイペースなヒロインにぴったりなリー・ランディー。今回も、二人の男たちに命がけで愛されても、自身を貫くヒロイン・江慈をたくましく演じている。江慈にも師匠と再会して自由に生きるという野望があり、そのために男二人を利用しようとするのだが、正義感や情の厚さでチャンスを自ら捨てることも。衛昭には刺されたり、殺されかけたりと手荒い仕打ちを受けるのだが、信頼関係のようなものが生まれていく一方で、自分を溺愛し厚遇してくれる裴琰には、恩は感じても一歩ひく形に。江慈をめぐる衛昭と裴琰の三角関係は、ほほえましいような互いへの嫉妬から、緊迫感溢れる真剣勝負まで、このドラマの大きな見どころとなっている。
江慈をめぐる衛昭と裴琰のロマンス以上に気になるのが、三人が巻き込まれる陰謀の行方だ。衛昭と裴琰、両方の父の死にかかわる皇帝・謝澈をベテラン、チャン・フォンイーが怪演。衛昭をかわいがり、裴琰には厳しい顔を見せる、冷徹で容赦ない絶対的支配者に二人はどう立ち向かうのか。一方で彼らを支える若き従者たちとのやりとり、ゆるぎない忠誠や、江慈に恋する主人にツッコミを入れるシーンなどにはほっとする雰囲気が。「楽游原」のガオ・ハン、「花令嬢の華麗なる計画」のジュー・ユエンビンなどが好演している。監督は「⼀念関山 -Journey to Love-」のジョウ・ジンタオで、衣装や美術も素晴らしく、二人の男の愛になかなかなびかないヒロインとのロマンスの行方、複雑な陰謀劇から目が離せない展開になっている。