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Cinema de 温故知新

劇映画とは異なるドキュメンタリー映画ならではの魅力

邦洋を問わず、このところドキュメンタリー映画が急増している感がある。それはデジタル技術の発達により、誰もがフットワーク軽くムービー・カメラを持てるようになってきたことと、また日本の場合、特に東日本大震災以降、震災の惨禍や原発問題などを扱った作品が多数作られているが、やはりそこには混迷する現代社会に対して何かを訴えたい、伝えたいという強固な意思を持つものが増えてきているからではないだろうか。

 テレビ局制作のドキュメンタリー番組も俄然活発であり、中には劇場公開されるものも出てきているし、ドキュメンタリ―映画のテレビ放送も、視聴率などは以前よりも堅調になってきているという。作る側だけでなく、見る側もなにかしら真実を知りたがっている。これが21世紀の映像をめぐる大きな特徴になってきているのかもしれない。

 衛星劇場でも6月から《ドキュメンタリー・セレクション》と銘打って、古今東西のドキュメンタリー映画名作群を毎月オンエアすることになった。

6月
『ざ・鬼太鼓座』
『アイ・ウェイウェイは謝らない』
『極北の怪異(極北のナヌーク)』

7月
『がむしゃら』
『情熱のピアニズム』

8月
『スケッチ・オブ・ミャーク』
『北朝鮮強制収容所に生まれて』

9月
『鬼に訊け −宮大工西岡常一の証言−』

(※はテレビ初放送)

 やはりここでまず着目すべきは、1981年に完成しながらも諸事情で長らく劇場公開が叶わず、映画ファンの間で幻の名作と謳われてきた加藤泰監督の遺作『ざ・鬼太鼓座』であろう。

『ざ・鬼太鼓座 デジタルリマスター』

これは正式にはドキュメンタリーというよりも、1971年に結成されたプロの創作和太鼓集団・鬼太鼓座にスポットを当てつつ、 単純にその活動ぶりを記録するのではなく、彼らの歩みなどを綿密にリサーチした上で脚本を作り、それに即しながら撮影を敢行していった不思議な制作形態の作品である。

 脚本のあるドキュメンタリーとは、これいかに? いや、加藤泰はそういった従来の映画の垣根を越えたところでの音楽“映画”を作るべく腐心している。

 昨年ようやくデジタルリマスター化され、今年公開された『ざ・鬼太鼓座』を見るにつけ、加藤泰の意図に間違いはなかったことを痛感させられる。鬼太鼓座の魅力を描出するためには、ただ単に記録するのではなく、やはり綿密なシナリオ設計が必要だという映画人ならではの主張が、数々の幻想的イメージ映像と、熱気と迫力に満ちた鬼太鼓座の特訓およびライヴ・シーンなどが見事に融合していくことで、まさにスペクタクル映画を見ているかのような醍醐味へと転換されていくのだ。

 その他、ドキュメンタリー映画の原点とも謳われる、カナダ北部のイヌイットの生活に密着した1922年制作の『極北の怪異(極北のナヌーク)』や、世界中の美術館が展示を熱望する破天荒アーティスト、アイ・ウェイウェイの真実を描く『アイ・ウェイウェイは謝らない』(13)など、実にユニークなチョイスによる作品群が毎月お目見えする。

 劇映画とは異なる記録映像ならではの魅力を、今回のラインナップからぜひとも汲みとっていただきたい。