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Cinema de 温故知新

美空ひばりのお宝映画『ひばりの歌う玉手箱』

戦後昭和の日本芸能史を代表する偉大なるエンタテイナー美空ひばり。歌手として、女優として、共に天才と謳われた彼女について今更どうこう記すのも野暮なことではあるが、今年は美空ひばり生誕80周年にあたる。

 誕生日は1937年(昭和12年)5月29日。12歳でデビューして以来、1989年(平成元年)6月24日に52歳の若さで亡くなるまで、一貫して現役として活動し続けたその功績は、今なお廃れることなく伝説として語られ続けるのみである。

 衛星劇場でも、そんな彼女の生誕80周年にあたり、5月の《幻の蔵出し映画館》枠で『ひばりの歌う玉手箱』を放送する。

 このタイトルを聞いただけで思わず身を乗り出した人は、かなりのひばり通と言えるかもしれない。

 1953年度の松竹映画『ひばりの歌う玉手箱』(弓削進・監修)は、およそ22分の中篇モノクロ作品で、その内容はひばりが当時出演した『あの丘越えて』(51)や『陽気な渡り鳥』(52)『ひばり姫初夢道中』(52)などの映画の名場面を集めた音楽アンソロジーである。

《あの丘越えて》《お祭りマンボ》《りんご追分》などご存知の名曲から、クラシック曲の替え歌、童謡までジャンルを問わず変幻自在に歌い続ける少女時代の初々しくも愛らしい美空ひばりのオーラは、まさに「天才少女」の異名をとるだけのことはあり、今でいうミュージック・クリップの先駆けのようなリズミカルで楽しい作品に仕上がっている。

 テレビ初放送、未だにパッケージ化されていないということだけでも貴重な放送といえるが、実はさらにこの作品の中には、同じく未だにテレビ放送されてない『悲しき小鳩』(52)の映像まで含まれている事実も、ファンであればあるほど大事なポイントになってくるだろう。

美空ひばりのお宝映画『ひばりの歌う玉手箱』

また映画の1シーンを多数収めているだけあって、山田五十鈴や鶴田浩二、岸惠子、佐田啓二などなど昭和の名優たちの若き日の姿を一気に拝むことができるのもよく、この時期の日本映画界の層の厚さを痛感させられるほどである。

 それにしても、たった22分の長さながら、これだけで若き日の美空ひばりの魅力のみならず日本映画の豊かさを体感させてくれる作品というのも、画期的なものではある。

 本作を見ていると、その楽しさもさながら、当時、映画というものがもっとも躍動的に輝き、流行の最先端をひた走っていたことまでも巧まずして教えてもらえているような、そんな気もしてならない。

 現在、往年のミュージカル洋画にオマージュを捧げた『ラ・ラ・ランド』が大ヒット中ではあるが、日本もそろそろこういった往年のひばり映画のような明朗快活な作品が再び登場しても良いようにも一瞬思えた……。

 しかし今、美空ひばりのような国民的存在のアーティストがどれだけいるかをよくよく冷静に考えてみると、皆無に等しいと言っても過言ではない。今、「天才」がいないのならば、かつての「天才」の偉業を振り返るほうが一番手っ取り早いのだ。