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歌舞伎彩歌

「四人同時襲名を寿ぐ豪華出演陣」

「祝勢揃壽連獅子」


2016年10月、中村芝翫・橋之助・福之助・歌之助の四人同時襲名披露がありました。二カ月連続の歌舞伎座襲名披露公演。翌17年1月の松竹座を合わせると、三カ月連続となり、口上に加わる人数、駆けつけた大幹部たちの顔ぶれを見ても、「成駒屋(なりこまや)の中村芝翫(しかん)」という名跡の大きさ、先代芝翫の面倒見のよさがしのばれました。


「祝勢揃壽連獅子」は、いわゆる「連獅子」の4人バージョンです。「親獅子は子を谷底に突き落とし、試練を乗り越えて上ってきたものだけを育てる」という言い伝えを引き合いに出しながら、狂言師が弟子たちに厳しく稽古をつけます。師匠と弟子でありながら、親と子を連想させる構図が、歌舞伎の家に生まれた俳優たちには自分たちと重なるものがあるのでしょう。何かの節目に「連獅子」を、親子や孫と演じることが多いですね。


後半、4人が獅子頭をつけ一斉に毛振りをする様子は豪快。でも子獅子(赤頭)を演じる3兄弟はそれぞれ年齢も芸歴も異なります。長男の橋之助は、すでに若手としては場数を踏んで頭角を現しつつあり、技を決めるタイミングや形の見せ方、目力に一日の長あり。次男の福之助は、そんな兄に負けまいと必死に合わせてきます。三男の歌之助はまだ高校生で体躯も小柄、初々しい子獅子です。芝翫の白頭は、そんな3人を見守る優しい親獅子。襲名をスタート地点に子らが大きく成長することを楽しみにするような、温かいまなざしを感じます。


獅子物のもとである能楽「石橋(しゃっきょう)」の小書(こがき)(特殊演出区分)に則っていうと、「連獅子」は白頭(しろがしら)赤頭(あかがしら)の獅子が1人ずつ出てくるもののみを指し、中村勘三郎親子が演じてシネマ歌舞伎にもなっている「三人連獅子」のように、白頭が1、赤頭が2のものは狻猊之式(さんげいのしき)(*)、そして「祝勢揃壽連獅子」が見せた白頭1、赤頭3は「大獅子」あるいは「群勢」と呼ぶそうです。


今回、間狂言(あいきょうげん)に、違う宗派でいがみ合う浄土僧と法華僧の二人だけでなく、片岡仁左衛門が慶雲阿闍梨として、中村梅玉が昌光上人として出演し、それぞれの弟子をたしなめる場面が加えられました。これも能の「大獅子」に出る「せがれ仙人」に準じての演出とか。坂田藤十郎も文殊菩薩として登場、今回の襲名を寿ぐという意味合いも兼ね、大幹部が花を添えて華やかでおおらかな舞台になっています。


(*)狻猊之式の「狻猊」は、伝説上の獅子を表す。一説に龍から生まれるも龍になれなかった子どもの一人。能の「狻猊之式」では、赤頭の2人のうち、「(さん)」を兄、「(げい)」を弟の名としている。