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歌舞伎彩歌

「『双蝶々曲輪日記〜角力場』結びの一番に波乱あり!〜今も昔も相撲がアツイ!」

「双蝶々曲輪日記〜角力場」


大相撲春場所は大阪場所。「荒れる春場所」の異名をとり、番狂わせが起きると座布団が乱れ飛ぶので有名ですね。江戸時代、大坂では堀江に角力場がありました。


双蝶々曲輪日記ふたつちょうちょう くるわにっき」には濡髪ぬれがみ、長五郎という横綱級(※)の人気力士と、素人相撲で名を挙げた小兵・放駒はなれごま長吉という二人の力士が出てきます。今回は濡髪が中村橋之助(現・芝翫)、長吉が尾上菊之助。その二人が、結びの一番で初顔合わせとなります。どちらが勝つかと観客たちが口々に好きな力士を応援する光景は、今も昔も変わりませんね。


勝負はおそらく濡髪の貫禄勝ちだろう、と思いきや、長吉の押しに濡髪はあっさり土俵を割ってしまいます。あこがれの濡髪に勝てた長吉はうれしくて仕方がありません。ところが対戦後、濡髪に呼び出された長吉は、信じられないことを耳にします。
「勝負はくれてやった。だから頼みを聞いてくれ」
八百長ですね。オトナの世界の汚さを見せつけられ、長吉は愕然とします。


事の発端は、濡髪を贔屓にする山崎屋の若旦那・与五郎と、放駒の贔屓の平岡郷左衛門が、吾妻あずまという一人の遊女を奪い合う身請けの競争。このころ、大半の力士は大名などのお抱えで(つまり絶対的なパトロンがいた)、力士の勝ちはパトロンの名誉である一方、力士は土俵を降りてもパトロンのために、用心棒のような形でひと肌脱ぐこともあったのです。


「どうしてそんな姑息なマネをする! 頼み事があるのなら、俺を土俵の砂にたたきつけてからにしろ!」
泣きながら濡髪に食らいつく長吉のまっすぐな心は、この後濡髪の心をも動かしていきます。でも同時に、それは濡髪に悲劇をもたらすのでした。


橋之助(現・芝翫)の濡髪は、ゆっくりと動き、低く響く声でゆっくりと語り、関取らしい大きさと懐の深さを示します。
また菊之助は、長吉と与五郎の二役。喧嘩っ早い長吉と、お金持ちの若旦那でなよっとした大阪のアホぼん(いわゆる「つっころばし」)とのコントラストを、見事に演じ分けます。贔屓の濡髪を褒めまくる人に会うと気分がよくなり、際限なくチップをはずむ気前のよさや、濡髪の着物を着させてもらってうっとりする様子など、松竹新喜劇のノリで楽しんでください。


※ このころは横綱は存在せず、最上位は大関でした。