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歌舞伎彩歌

「『幻想神空海』長安を舞台に青年空海が難事件を巡って活躍!」

「幻想神空海」長安を舞台に青年空海が難事件を巡って活躍!


空海は、真言宗の開祖。31歳で遣唐使船に乗って長安に行き、通常なら数十年かかるはずのところをたった2年で日本に戻り、いちはやく密教を日本に伝えました。多くの偉業をなし、弘法大師の名でも知られ、またそのエネルギッシュな人となりから逸話もたくさん伝えられている歴史上の人物です。


けれどもこの「幻想神空海」に登場する空海は、まだ人の上に立ち、日本の仏教をリードしていく偉人ではありません。なんとかして短期間で密教を修め、日本に持ち帰るぞという志を持つ段階。長安という当時文化経済最先端の大都市に降り立った高揚感、好奇心、新たな人との出会い、そうした青春の匂いのする等身大の若者の物語です。


一方、幻想小説や伝奇ロマンを得意とする夢枕獏の小説「沙門空海唐の国にて鬼と宴す」が原作ですから、化け猫が出たり、墓を守る兵俑(へいよう=兵士をかたどった副葬人形)が動き出したり、方術使いが出て来たり、と妖気漂う難事件が次々に勃発。空海は、同じ遣唐使船で来た橘逸勢たちばなのはやなりとタッグを組んで、事件解決に乗り出し、50年前の楊貴妃の死が関係していることを突きとめます。一見奇想天外でなんでもありのように見えて、史実の点と点を結び、線の部分を膨らませているところは、見事というほかありません。


舞台は唐の市場、妓楼、屋敷、寺、墓、宮殿…とめまぐるしく変わり、時代も数十年の間を行き来するというダイナミックさ。スムーズな舞台転換を可能にしているのが歌舞伎舞台の機構である「廻り舞台とセリ」です。また、空海を見込んで力を貸す方士・丹翁に中村歌六、皇帝・憲宗に松本幸四郎、楊貴妃に中村雀右衛門とベテラン勢が脇を固め、スケールの大きい中国の歴史観に説得力を与えています。


とはいえ、やはり新作歌舞伎を牽引するのは若い力。空海(市川染五郎)、速勢(尾上松也)、白楽天(中村歌昇)が、妓楼で出会い春琴(中村児太郎)や玉蘭(中村米吉)を交えて夢や志、悩みを語り合う場面は、そのまま若い歌舞伎俳優たちが歌舞伎の未来を見据え、自らの道を探る姿にも重なるかのようです。