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歌舞伎彩歌

ちょっと幕間「玉三郎が惚れ込んだ泉鏡花の世界」

シネマ歌舞伎〜泉鏡花三部作 坂東玉三郎は泉鏡花の幻想小説における文学性・美意識の高さに惚れ込み、その舞台化・映像化をライフワークとしています。『天守物語』『海神別荘』『高野聖』の三作品はその最高峰と言えましょう。玉三郎は全作品主演・演出。歌舞伎と鏡花を見事に融合させた舞台を作り上げ、かつ映像美にこだわったシネマ歌舞伎として完成させました。


「玉三郎の歌舞伎」と聞けば正統派の舞踊を思い浮かべる方も多いと思いますが、伝統に根差した所作や技量を基礎としながらも、玉三郎の発想の斬新さ・表現の自由さは、ときに「これこそ歌舞伎」という観客の固定観念をも飛び越えていきます。


たとえば『海神別荘』の登場人物はほぼ洋装で、一見すると歌舞伎とは思えません。では鏡花の原作がそうなっていたかといえば、それも違う。人間界から海底の国へ嫁入りするそのカルチャーギャップを表現するため「時代や国籍が限定されない」工夫として洋装を取り入れた玉三郎。鏡花世界の幻想的なイメージの本質を追求した結果です。


『天守物語』では姫路城の天守閣内部を4本の柱のみで表現。現代劇にも通じるような何もない空間は、俳優にとって力を試される場にもなりました。
「見えないものを見えるように演じて、イメージをお客様に届けなければ」と、玉三郎はほかの出演者に対し、ワンステップ上の演技の高みを要求しています。


映像化に際し、大幅に演出を変更したのが「高野聖」です。終演後の舞台に6台のカメラを入れ、昼間の森もロケーション映像を挿入するなど、映像でしか表せない方法で臨場感を出しました。一人の僧が山の中で女に出会って魅了される話を「高野山で読経するお坊さんの脳裏に浮かんだ一瞬の煩悩のゆらめき」と解釈して演出した玉三郎。一夜の試練を乗り越えた翌朝の、魂が光に浄化されていく清涼感を、じんわりと味わってください。


他方、思いのほかコミカルな場面やエロティックな場面があるのも特徴。
「猥雑と高潔が交錯するところは歌舞伎と同じ」なので、「これは歌舞伎にできる」と思ったそうです。泉鏡花にはなじみのない人もシネマ歌舞伎を入口にして、幻想小説に興味が湧いてくるかもしれません。