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歌舞伎彩歌

歌舞伎彩歌「寿曽我対面」ひな壇に看板スター勢揃いの華やぎ

寿曽我対面


「寿曽我対面」の幕が開くと、一段高くなった舞台の上に、役者がずらっと並んでいます。テレビのバラエティ番組で、司会者の後ろの階段状になった席に座ってあまり話を向けられない人たちのことを「ひな壇芸人」と揶揄することがありますが、歌舞伎は動かない役ほど難しい。黙って座っていても絵になる存在感がなければ務まりません。


そして、これらの人々が普段はそれぞれ主役を務めるほどのスターばかりだと、その華やかさに思わず「うわーっ!」と歓声が上がるのです。…そう、野球で言えばオールスター戦でしょうか。普通なら完投するような大投手が、1イニングだけ登板したり代打で出たりする、凝縮した面白さと祝祭性が「寿曽我対面」にはあります。


でも逆を言えば、オーラのある人々が顔を並べて初めて成り立つとも言え、役者の存在感が問われるオソロシイ作品といえましょう。(しばらくすると主だった人物は「ひな壇」から降りてきます。スターには、ちゃんと見せ場が用意されているのです)


主役は曽我十郎・五郎の兄弟です。親の仇である工藤祐経の屋敷に「対面したい」と乗り込んできます。喧嘩っ早い性格の五郎は、荒事(あらごと)の特徴である隈取をして見得を切りまくり、今にも祐経にとびかかりそうな勢い! 今回は尾上松緑が、いかにも荒事という天真爛漫さで演じます。そんな弟をおしとどめ、その場をおさめようとする兄の十郎に中村勘九郎。勘九郎は平成24年12月、自身の襲名披露公演では五郎を演じています。


迎え撃つ工藤祐経が中村橋之助。自分を仇と狙う二人が来ても「まあ一杯飲め」と盃をとらせるほどの器の大きさを見せます。でも五郎は「仇の酒など飲めるか!」と杯を載せた三宝をぐしゃぐしゃにつぶしてしまうので、「ひな壇」の面々は無礼だと罵ったり嘲笑ったり。ゾウに向かってアリが吼えるほどの力の違い、権力の差が歴然としてそこにありました。


一見、父を殺された兄弟に肩入れするような物語ですが、実は二人に「敵討ちより、盗まれた家宝を取り戻すことが先だろう」と諭す工藤祐経の態度こそ白眉。逃げも隠れもしないから、こんな宴席ではなく富士の裾野で堂々と戦おう、と通行手形を渡すオトナの対応に、深い役どころを感じてください。