衛星劇場 あなたのテレビライフを豊かにする。邦画・洋画・韓流・歌舞伎などバラエティに富んだ上質エンターテインメントチャンネル

邦画・洋画・韓流・歌舞伎などバラエティに富んだ上質エンターテインメントチャンネル

機能リンク
  • 加入申し込み
  • 会員登録
  • 番組表

Close Up & Spotlight

M&Oplaysプロデュース「鎌塚氏、腹におさめる」不機嫌なご主人様とマジメな執事の笑える日常

M&Oplaysプロデュース「鎌塚氏、腹におさめる」

“完璧な”執事、鎌塚アカシ(三宅弘城)が仕える屋敷での騒動を描いた「鎌塚氏シリーズ」の第4弾。探偵推理かぶれのヒロイン・綿小路(わたのこうじ)チタルに実力派若手女優の二階堂ふみを迎え、「ご主人様のご機嫌を損ねない」が世の中の第一優先である熱血執事の日常の悲喜劇を、コメディタッチで綴る。執事といえば、今回ノーベル文学賞を受賞したカズオ・イシグロの代表作「日の名残り」も執事もの。普段は目にする機会のない上流社会や金満家の知られざる日常を知りたい、という庶民の願望をかなえるために、常にご主人様のそばにいて屋敷のことはすべて知っている執事の「視点」は格好の「潜入カメラ」となりうる。


とはいえ、ドラマ「家政婦は見た」シリーズのような、新参者の好奇な目とは性質が異なる。ご主人様やその家族を愛し、彼らのために行動する。まさに一心同体であり、あるときは親への愛情、あるときは、子への愛情に勝るとも劣らない。今回はそういう一面を徹底的に描き倒す。


鎌塚氏が今回執事長として仕える綿小路家では、主人のサネチカ公爵(大堀こういち)もチタルも、とにかく常に機嫌が悪い。亡くなった公爵夫人の弟にあたる鬼集院ヤサブロウ(眞島秀和)も然り。そんなイライラの原因は何なのか? 彼らには彼らの寂しさがあり、愛への渇望がある。それらを閉じ込めたかたくなな心を思いやり、開き、全力でサポートする者こそ、鎌塚氏!「やっぱりあなただったんですね」というセリフに、孤独な貴人が本当に求めている幸せを、ふと感じる伏線の貼り方が巧みだ。


三宅弘城はピンと背を伸ばし、執事役の要である「黒衣(くろご)役」としてのたたずまいが抜群。決して笑わないがセリフや演技の絶妙な間合いで客席を笑いの渦に巻き込む。一生懸命やればやるほどオカシイというのは、喜劇の王道だ。ヤサブロウに仕えるもう一人の執事・宇佐スミキチ(玉置孝匡)との対比もみどころのひとつ。「自分の命にかえてもお守りするべきご主人」「そのためには法律を犯しても構わない!」とまで豪語する鎌塚氏が、最初は常軌を逸して滑稽に見えるのに、だんだん愛おしくなり、「ここまで親身になってくれる人が、自分にもいてくれたら……」とさえ思ってしまうほど。
唐突に、本当に唐突に始まるドタバタ劇が、最後は胸のあたりにじんわり沁みてくる、ハートウォーミングな舞台である。