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舞台「Little Voice (リトル・ヴォイス)」本当は聞いてほしかった、私の心の声

舞台「Little Voice (リトル・ヴォイス)」

家から出られない、部屋から出られない、出られても人と話せない。今、日本にも「ひきこもり」の人たちがたくさんいる。そんな人たちや周りで心配している人に、とりわけ見てほしいと思う舞台だ。内側から湧き上がる心の叫びを感じさせてくれる。


歌が好きな少女(大原櫻子)は、亡き父親の形見である古いコードを毎日聴いている。ジュディ・ガーランドやシャーリー・バッシーなど。流行りの音楽ではない。彼女にとって、歌はそのまま大好きな父親の思い出だった。そういう娘を苦々しく思っているのが、母親のマリー(安蘭けい)だ。彼女は世の中を、自分の不幸を呪って生きている。父親を神聖化し思い出にふける娘が許せない。今の生活からなんとか浮かび上がりたくて、男にすがりつこうと必死だ。いつも言いたいことを大声でがなり立てるマリーには、黙して語らぬ娘の気持ちはわからない。「L・V(エル・ヴィ)=リトル・ヴォイス」とあだ名をつけ、好きなレコードを聴くことさえ止めさせようとする。言いっぱなしの母親と何も言わない娘のすれ違いが果てしなく続くある日、マリーの恋人レイ(高橋和也)が、LVの歌声を耳にする。往年の名曲を、名歌手の歌い方そっくりに歌えるLVの非凡な才能を、芸能プロモーターのレイが放っておくはずはなかった。


……とはいえ、歌好きで内気な女の子がスターになっていく、といった単純な話ではない。まるで児童虐待かというほど攻撃的な母親マリーが、LVの寝顔を優しくなでて微笑むシーンには涙が出る。彼女も苦しいのだ。娘を愛してる、でもやさしくできない。どんな母親にも一度は覚えのあるだろうやるせなさと残酷さを、安蘭けいが渾身の演技でカリカチュア。その役者魂に拍手を送りたい。
後半、LVが舞台に立って歌う瞬間からは、大原櫻子の独壇場だ。大原がシャーリー・バッシーの大胆な声やマリリン・モンローのお色気、エディット・ピアフの凄みを次々と原語で披露する。「あのおとなしいLVが、ここまで?」と思うほど、自分を解放していくさまは圧巻。本当は聞いてほしかった自分の本当の声。ママにこそ知ってほしかった本当の心。自分に似て口下手な青年ビリー(山本涼介)との交流も、彼女が心を開くステップとなっている。


自ら話し出すのをじっと待つこと、傷ついて泣き叫ぶ人に寄り添うこと、そして、いつかは自分から「扉を開く」こと。見終わったとき、あなたはどんな勇気を得るだろうか。