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TAKAYUKI SUZUI PROJECT OOPARTS vol.4 「天国への階段」「孤独死」の現場を片づける“清掃人”の秘密

TAKAYUKI SUZUI PROJECT OOPARTS vol.4 「天国への階段」

「メジャーではないマイノリティなものを表舞台に引き出すことを大切にしている」というOOPARTSプロジェクトの鈴井貴之が、今回の舞台に選んだ題材は「孤独死」。死後7日以上経過しても発見されず、なかには1か月以上も放置されてしまう場合も含め、孤独死は年間3万件を上回るとか。この現実に衝撃を受けた鈴井は、遺体を引き取った後の部屋を片付ける “特殊清掃人”にスポットライトを当てた。彼らはなぜ、この仕事をやろうと思ったのか。遺体が引き取られた後の部屋に集った清掃人一人一人の生きざまをひもとく一方、社会の片隅でひっそりと生を終えた部屋の主の人生をも浮かび上がらせていく。


だが孤独死の現場が苛酷を極めるのは、想像に難くない。遺体が放置されていた臭い、虫、大量のゴミ。どうやったらこんな題材を舞台にできるのだろう? そんな不安は冒頭から払しょくされる。中身が詰まって大きく膨らんだ白いビニール袋は、大量のゴミに見立てられ、登場人物たちはまるで大きな風船と格闘するようにして、整理を続ける。セリフも演技もコミカル。もちろん「事実」に基づいて現場の状態をつぶさに伝えているのだが、観客に生理的な嫌悪感を微塵も与えない。TVクルーが孤独死の部屋の清掃現場を取材する設定も、“慣れた”清掃人と“慣れない”クルーとのギャップを見せて効果的だ。このクルーたちが清掃人それぞれに「なぜこの仕事を選んだのか」を問うことで、彼らの過去が少しずつ明らかになっていく。


劇団OOPARTSを経て、今はプロデュース公演「OOPARTS」プロジェクトの作・演出を手掛ける鈴井は、その都度集まる俳優たちによる化学反応を楽しみつつ、彼らの魅力をより引き出すために、稽古の過程で何度も改稿を重ねるという。様々な出自の俳優たちが毎回火花を散らすが、今回はキャラメルボックスの畑中智行やヨーロッパ企画の永野宗典、ドラマやミュージカル、声優でキャリアを積み上げる菊地美香などが出演。常連の藤村忠寿(北海道テレビ)は「水曜どうでしょう」以来の盟友だが、特殊清掃の会社社長の懐の深さそのままに全体を包み込む。また初参加の東李苑(元SKE)は、「あの世とこの世」を結ぶ重要な役で異彩を放ち、中盤以降彼女から目が離せない。あっと驚くラストシーンにつながる伏線の張り方が緻密だ。上質なミステリー作品としても鑑賞できる、秀作である。